最新のRFIDがもたらす物流への影響とは
- 2019/4/1
- 物流業界について
RFIDとはRadio Frequency Identificationのことで、この仕組みを内蔵したタグは無線IDタグと呼ばれることもあります。
物流においては、品物にIDタグを付けて管理することは良くあります。バーコードなどは一種のIDタグであり、バーコードのデータを読み取って管理することにより、どの品物が今どこにあるのか、そしてどこに運ばれるべきなのかを管理することができます。実際にこのように活用されている事例は既に数多いでしょう。
RFIDタグは、バーコードよりも一歩先を行く管理方法です。バーコードの場合、読み取り機を直接バーコードに当てなければ機能しません。もちろん、そのバーコード部分にきっちりと当てないと読み取ることはできず、バーコードのついているタグがあったとして、そのタグの裏面に読み取り機を当てたとしても全く読み取れないのは当然のことです。ですが、RFIDタグは電波や電磁誘導の原理によって情報を伝達することができますので、多少離れたところからであっても読み取りが可能です。これは、コンビニやスーパーで売られているような品物と、物流倉庫で扱われている品物との差を考えてみれば特性がよく理解できるでしょう。
コンビニやスーパーで売られているような品物は、ごく簡単に手に取ることができ、バーコード部分を読み取り機にかざすようなこともごく容易です。このような品物の場合、RFIDタグをわざわざ利用する意味は少ないということができます。というのも、バーコードは単に表面に印刷することで事が足りるのに対し、RFIDの場合は微小といえどもICチップが必要であり、その分だけコストもかさむことになるからです。
一方で物流倉庫を考えてみてください。そこに置かれているような品物は、容易に手には取れない大きさ、重さのものも多いでしょう。倉庫には天井近くまでラックが設けられており、簡単に品物のそばに寄ることが難しいこともいくらでもあります。こんな場合にバーコード管理では大変です。読み取り機を当てるために相当な苦労が必要です。仮に近づけたところで、大型の品物の場合、その品物のどこにバーコードがあるのか探すだけでも一苦労かもしれません。コンビニやスーパーで買う品物で、あちこちひっくり返してバーコード部分を探し当てるのとは訳が違うのです。
ですが、RFIDタグを使えば話は大きく違ってきます。多少離れていても読み取ることが可能ですから、倉庫内のフロアに立ったままでも管理することができます。もちろん、読み取り可能な範囲内には複数の品物が置かれている場合も多いでしょうが、混線したりする心配はありません。一つ一つを別々に、確実に読み取ることができるようになっています。
これにより、どの品物が、どこにいくつあって、どこに運ばれるべきなのかを一元的に管理することも容易にできるようになります。この後はもちろんのことコンピューターと、それに接続されたロボットというか、オートメーションシステムの出番です。つまり、その品物が行くべき場所に従って自動的に仕分けをし、そこへ運ぶトラックの荷台に自動的に積み込むというようなことができると物流は大きく改善されるでしょう。
RFIDの可能性はこれだけではありません。もっと物流の上流や下流まで考えて全体的に改善が図れる可能性もあります。小売店でそのRFIDタグのついた商品が売れたその瞬間、その情報がメーカーの工場に伝わり、生産システムが自動的に動き始めるといったイメージです。あるいは売り場で欠品が出たその瞬間、付近の倉庫でどこに在庫があるか瞬時に検索し、自動的に輸送が開始されるといったこともできるようになるかもしれません。