大型トラックの過積載、一斉取り締まりとは?
- 2018/9/10
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大型トラックの過積載、一斉取り締まりとは?
わが国の道路の規格は道路構造令などの法令によって詳細に定められています。 そのため本来定められているはずの最大積載量を超過する積荷を運搬している大型トラックやトレーラー、 クレーンなどが走行した場合には、道路の舗装や橋梁の劣化を早める原因になります。 道路行政を取り仕切っている国土交通省によれば、全体の交通量のわずか0.3パーセントほどの 車両総重量20トンを超える大型車両の過積載が、道路上の橋梁の劣化に与える影響は90パーセント以上とされています。 そのほかにも過積載車両が急ブレーキをかけた際の制動距離は長くなりがちですので、 複数の車両や道路の大幅な損傷を含めた重大な交通事故にもつながりかねません。 このような過積載車両に対しては、それぞれの道路管理者が道路の保全と交通安全の観点から個別に指導や取り締まりをこれまで行ってきましたが 、取り締まりをしている場所を迂回走行するなどの事例が相次ぎ、実質的な効果が上がらないという問題がありました。 そこで最近では全国的に大型トラックなどを対象とした過積載車両の一斉取り締まりが実施されるようになってきています。 たとえば平成24年に国土交通省の大阪国道事務所が行った一斉取り締まりでは、大阪府枚方土木事務所、西日本高速道路株式会社、 大阪府警が連携して合同で担当するという名目で、国道1号の枚方車輌計量所が基地となりました。 具体的には深夜の23時から翌日1時にかけて実施され、該当車両があれば基地となっている計量所にそのまま車両を引き込んで停車させ、 特殊車輌許可証の交付や携帯の有無、許可内容や許可条件をチェックするとともに、車両の重さ・高さ・長さ・幅などの計測を行っています。 この場合の違反内容に応じて、道路管理者は道路法第47条の規定に基づき、通行中止や総重量の軽減その他の措置命令を行うことになります。 現在もこのような取り締まりによって、過積載防止対策をますます強化する流れが生まれています。 また、法令やそれに基づく許可の条件などを少しでも超過すれば過積載であって、ただちに道路法に規定する懲役または罰金といった処罰を受けたとしても、 本来はおかしくはないはずです。しかし実際にはある程度の過積載許容範囲がなかったわけではありません。それも最近では認められなくなってきており、 たとえば平成27年から施行された国土交通省の通達では、原則として車両の総重量の最高限度の2倍の重量以上の特殊車両を通行させた場合には、 刑事告発の対象にすることが規定されました。これは現地での取り締まりにおいて違反の事実が見つかった場合には、 ただちにレッドカードの対象となるというものです。もちろん過積載がこの条件を満たさない場合でも、常習性があるものなどは積極的に告発の対象となっています。 これに加えて荷主に対しての規制の強化もはじまっています。これまでは運行しているドライバーや会社のほうが取り締まりの対象といえましたが、 荷主のほうが契約に基づいて無理な要求を押し通すことも結果として過積載車両の横行を助長しているものといえます。 そこで平成29年から段階的に進められている取り組みとして、高速道路や国道の基地における現地取り締まりで過積載車両が見つかった場合に、 警告書や措置命令の発出とあわせて、任意にドライバーから荷主の情報を聴取することが行われています。また特殊車両通行許可は国土交通省のなかでも 北海道開発局や地方整備局などのそれぞれの地方ごとの国土交通行政を総括的に所管しているセクションが担当していますが、 許可申請の際の荷主情報を道路管理者にも提供して共有するようになっています。