物流KPIとは?得られるメリットと設定方法とは

物流KPIとは

物流KPIとは、物流に関連する会社である運送業や倉庫業者などが用いる指標のことで、重要業績評価指標を意味します。

たとえば、運送会社において利用される全走行距離に対する荷物を積載した距離の割合を示す実車率も指標のひとつですし、荷物を積載するだけでなく最大積載量に占める割合を示す積載率も重要です。このように運行効率を具体的に数値化できる指標のことを、まとめて物流KPIと呼びます。物流KPIを導入するメリットは、問題点を可視化できる点です。物流は中継拠点が増えたり、取り扱う荷物が多様になるにつれ業務管理者による物流コストの把握が難しくなります。

したがって、実車率や積載率のみならず、より詳細に数値化することで物流コストの増加や削減を克明に把握することができます。さらに現況の強みや弱みが明確化するため業者間で業務改善に取り組めるなど横断的にデータを利用できる点もメリットです。会社内ならば、運転者ごとにアイドリングストップの努力など効率の良い走行を心掛けているかを具体化し賃金や昇級に反映させれば労務管理に利用も可能です。具体的なデータを提示すれば労働従事者にも不満が起こりにくく、より合理的で公平な評価につながります。

では実際にどのように設定すれば意義ある数値になるか考えます。

物流を一つの流れで見た場合、荷主から納品先までに物流センターやトラック輸送などを経由します。一連の中で分業する時点が重要になり、荷受けした時点、保管仕分けする時点、検品や出荷する時点などです。より具体的に見ていくと、保管仕分け時点では保管効率を数値化すればコストを把握できますし、働く人の数を常時均一にするのではなく時期や時間で傾斜させ労働生産性を高める目的に使うことも有効です。

荷受け及び出荷時ならば、さまざまな誤りを知ることで作業のクオリティ向上につなげられます。仕分け時点での荷物の損傷や汚れの数を認識することも同様の効果が期待できます。発送時及び配送後で有効な指標では、サービス向上の面で考えると誤発送の数、指定日時の誤解や遅配の率、依頼主からのクレームなどのデータは業務改善に役立ちます。コスト面ならば、実車率や積載率、運転者の実働率によって改善の端緒にできるでしょう。

そこでいくつかの指標の算出の仕方を紹介します。実働日数は、労働者の実働日数を会社の営業時間で割ります。この数値は労働力を流動的かつ有効に導入しコスト削減に役立ちます。棚卸し差異は、棚卸し差異数を全棚卸資産の数で割ります。これは盗難や紛失、出荷誤りなど資産管理の改善が目的の数値です。やや耳慣れない人時生産性という数値は、処理した荷物の数を投入した人数で割ることで計算されます。

作業効率が具体化するので作業改善や投入すべき人数の改善により労働生産性を高められます。これ以外にも配送頻度や納品先での待機時間など収集できるデータを詳細に把握すれば物流の効率化が実現できるでしょう。こうしたデータは荷主と連携してこそ役立つものも多いので、より緊密な連絡により相互理解を深めることが重要です。これは親子会社など自社系列だけに限ったものではなく、他社との連携がより有効で実際に行っている会社が存在します。会社にKPIを導入するステップは、経営者によるKPI導入目的の明確化から始まり、会社全体の意識を高めていくこと、その際に他部署間がしっかり連携できる環境を整えることを準備段階とします。

具体的な体制が整った上でどのような指標を収集するかを決定し、データの取得そして業務改善へとつなげていきます。物流KPIは経営改善と共にドライバー不足など労働環境の整備をも目的としており、将来の物流には欠かせない視点です。

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